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仲川輝人が「学んでいない」と憂いた理由。またも勝てず、横浜F・マリノスを苛むセレッソ大阪への苦手意識

text by 編集部 photo by Getty Images

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仲川輝人
【写真:Getty Images】



10年以上払拭できないセレッソ大阪への苦手意識

 明治安田生命J1リーグ第21節が10日に行われ、横浜F・マリノスはセレッソ大阪と2-2で引き分けた。



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 この試合の2日前、DF角田涼太朗は「1試合1試合戦っていくという意味では他の試合と位置づけは変わらないですけど」と前置きしつつ「やっぱりマリノスにとって多少苦手意識のある相手。そこにしっかり勝つことで、またチームに勢いが出るのではないか」とセレッソ戦に向けた展望を語っていた。

 だが、勝てなかった。「またしても」という表現が正しいのではなかろうか。マリノスは長年にわたってセレッソに対して相性が非常に悪く、「苦手意識」に苛まれ続けている。

 昨年はホームゲームでセレッソに10年ぶりの勝利を飾ることができたが、それまでは5連敗。1つの勝利をつかみ取るまで対セレッソは公式戦16試合で5分11敗という「苦手意識」を抱くのも無理もない惨憺たる成績だった。

 今年はJ1リーグ開幕戦で対戦し、今節と2-2のドロー。マリノスは主導権を握りながら攻めあぐねる中でコーナーキックから失点し、一度は逆転したものの、最後は再びコーナーキックからゴールを許して勝ち点1を分け合った。

 20試合ぶりの再戦は、よりマリノスの“負けパターン”に近い展開になった。前回対戦時と同様にボールを支配して主導権を握りながら、1本のパスミスをきっかけに失点。なかなかゴールを奪えず、後半にも見事な崩しからFWアダム・タガートに追加点を許して苦境に立たされた。

 ボランチとして出場していたMF岩田智輝は「いつもみたいな簡単なミスをしてしまうシーンがあった。そこも含めてもっと全員が早く準備しないといけないと思います。ちょっとしたズレがあったからこそ、2点目を奪われた後、沈んだ感じになってしまった」と悔やむ。

 もしセレッソのDF山中亮輔が退場になっていなければ、マリノスが劇的な形で同点に追いつくこともなかっただろう。

 後半途中からピッチに立ったマリノスのFW仲川輝人は「2点目を取られて、ちょっと沈みかけましたけど、PK(獲得)の場面で退場者も出て、そこからまた息を吹き返した」とチームのリバウンドメンタリティに手応えを感じているようだった。

 だが、仲川はそれ以上に対セレッソの「苦手意識」による影響を危惧している。

「前半を見ていても、セレッソ相手にちょっと焦っているところがあったと思うし、焦れて変な縦パスを入れて、それが取られて、(ボールを)失っている場面が多かった。そういうのは珍しかったというか、ここ数試合ではない場面だったじゃないですか。

前半戦のセレッソ戦も先制されているので、そうなると難しい試合になってしまう。もっともっと試合の入りもそうだし、ミスを少なくするという意識づけをしていかないといけないと思います」

 マリノスを率いるケヴィン・マスカット監督も「技術的なエラーはどうしても起こってしまうのがサッカー」とミスを受け入れつつ「自分がフラストレーションを溜めたのは、戦術的な部分で自分が求めていたものと離れてしまったところ」と、試合運びに不満をのぞかせた。

「ボールを握っていたかと思えば、(危険なエリアに)侵入したところで質が落ちたり慌てたり。もっと大事に扱えばよかったが、ボールを失う場面が多かった」という指揮官の認識は、岩田と仲川に共通するものだ。

 手堅いセレッソに対し、マリノスはアウェイで11年間勝てていない。直近はアウェイで3連敗中だったところから、今回は何とかドローに持ち込むことができた。これをチームの成長と捉えるかは判断が分かれるだろう。とはいえ仲川は「たぶん昨年とかだったら普通に負けていると思うし、ここで引き分けにまで追いつけたのはよかった」と語る。

 ただ、追いつけた手応えよりも「負けなくてよかった」という意識の方が強いようだ。対セレッソの苦手意識を完全に払拭するには、まだまだ時間がかかるかもしれない。仲川は次のように苦言を呈す。

「セレッソ相手に先制されると、こういった展開になるというのはもう何年もやられてきているので、学んでいないというか。自分たちもわかっているんです。相手の決定力は褒めるべきところですけど、その前に自分たちのミスがなくならないと。そういったところを改善していければ。負けなくてよかったなと思います」

 マリノスが3年ぶりのリーグ優勝を果たすには、アウェイで苦しい展開になったとしても、勝ち点をしぶとく拾っていくことが重要になる。その意味では、今回のセレッソ戦の勝ち点1には確かな価値がある。

 とはいえ何年もセレッソ戦で繰り返される負の連鎖は断ち切らなければならない。残念ながら抜本的な改善策は今回も見つからなかった。

 仲川が「学んでいない」と憂うのは、本来は必要のない苦手意識による1つのつまづきが、その後の戦いにも影響する大きな傷へと広がってしまいかねないからだろう。マリノスが今回のドローから何を学び、経験を次にどうつなげていくか注視していきたい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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