ベテランFWの見えない貢献
「チームにすごく迷惑をかけていたので、こういう大事な試合で点を取れたのは本当に嬉しいけど、まだまだ前半戦の借りがたくさん残っている。次のジュビロ磐田戦で3連勝してこそ、この2連勝の価値が出てくると思っています」
ピッチの中で見せる熱さは、大迫が抱く責任感に置き換えられる。ピッチの外で見せてきたクールな姿こそが、むしろ仮面なのかもしれない。プレーを含めた立ち居振る舞いで神戸をけん引する大迫の雄々しい姿に、吉田監督も賛辞を惜しまない。
「前節も今節も特にヘディングのところでは負けていないし、今節は点も取ってくれた。前節は点を取ってはいないが、見えないところでチームに貢献してくれている」
日本代表を率いる森保一監督は、今月19日に幕を開けるEAFF E-1サッカー選手権へ国内組だけで臨み、その上で実績十分なベテラン勢、DF長友佑都とDF酒井宏樹、そして大迫の選外をすでに明言している。
すでに実力を把握している3人をいまさら試す必要はなく、コンディションを整える期間にあててほしいというメッセージか。カタールワールドカップ代表入りへの当確とも受け取れる措置だが、誰よりも大迫本人が自らの現在地に納得していない。
次の目標は勝てばJ2への自動降格圏から脱出して、16位に浮上できる9日の磐田戦であり、最終的にはJ1残留を見すえる。勝ち残っているYBCルヴァンカップ、天皇杯、そしてACLも貪欲に目指す。胸を張って森保ジャパンに再び招集され、カタールの地で戦う姿を思い描きながら、大迫はプレーと治療を同時進行で続けていく。
(取材・文:藤江直人)