「チームへ勢いを持たせられるようなプレー」
タイで集中開催され、グループJを首位で通過してノックアウトステージ進出を決めたACLから帰国した後は、途中出場どころか3試合続けてベンチにも入れない状況が続いた。必然的に代表が4試合を戦った6月シリーズも選外になった。
そして、最下位から抜け出せない神戸はロティーナ前監督をも解任。バトンを託された吉田監督は、大迫の状態を問われると「万全なのか、と言われると万全ではない」と詳細は伏せながらも、依然として細かい痛みを抱えていると明かした。
それでも、ピッチに立てば明らかな違いを生み出せる。手負いの大迫へ吉田監督から与えたのが、後半途中から攻撃のリズムを変える役割だった。大迫が言う。
「サッカーは何本パスをつないでも、やっぱり点を取らなければいけない。ロングボールに対して僕が前で競り勝てばチャンスになる回数も増えているし、そこはどちらも上手く使いながら、併用しながら戦っていけば強いチームになってくると思う」
清水戦の決勝ゴールをさかのぼれば、自陣からDF小林友希が放ったロングボールに行き着く。ターゲットになった大迫がDF鈴木義宜に競り勝ち、こぼれ球を武藤が収め、大迫を信じて攻め上がってきた複数の選手が次々と攻撃に絡んでいった。
吉田体制の初陣だった2日の鳥栖戦でも、0-0で迎えた73分から投入された大迫がロングボールの攻防と、クロスに対して相手を引きつける動きで違いを発揮。流れが変わったなかで、79分とアディショナルタイムに武藤がヘディング弾を決めた。
「チームが勝つことが一番だし、その意味では本当にチーム全体に自信がつく勝ち点3だったと思う。チームへ勢いを持たせられるようなプレーを心がけているだけだし、僕が前で相手に競り勝てば絶対にチャンスになると思っているので」
短い時間で勝利に貢献している、と問われた大迫は、相手センターバックとの空中戦へ特に神経を集中させていると明かした。このやり取りで取材エリアでの質疑応答を終えたが、試合後のフラッシュインタビューではこんな言葉を残していた。