「伝説」の先に見据える進化
ケルン戦の翌日に自身のSNSを更新した遠藤は「昨日家に帰ったら近所の子供達が僕の家の前に書いてくれてました」と、1枚の写真を掲載した。そこには地面に書かれた「LEGENDO」の文字が。「ENDO」の名前と「伝説」を意味する「LEGEND」の2語を引っ掛けた、最大級の賛辞だ。
ファン・サポーターはシュトゥットガルトを劇的な残留に導いた遠藤の存在を「伝説」として語り継ぐに違いない。
チームキャプテンとしてのシーズンを終えた遠藤は「最終的には残留も決められてホッとした部分もあるし、ここからだなという思いももちろんあります。最低限の結果を得られたシーズンだったのかなと思います」と「非常にタフなシーズン」を総括した。
「どちらかというと僕はそんなに多く話すタイプではないので。ドイツ語も話せないですし、どちらかというとキャプテンとして背中で見せる、そういう姿勢を常に見せていった結果、残留できたと思っています。でも、キャプテンをやるのであれば、もっと多くコミュニケーションを取るべきなのか……そんなことをいろいろ考えたシーズンではありました」
真摯にサッカーに向き合い続けた末に1部残留を果たし「やってきたことは間違っていなかった」という自負がある。一方、「背中で見せる」ことによってチームを導く理想の形を見出しつつも、キャプテンとして1年間過ごす中でピッチ上のプレー以外のところでチームメイトをいかに団結させて高みへ導くかという、今後につながる伸びしろも発見できた。
監督やチームメイトたちからの信頼は揺るぎない。カタールワールドカップも控える新シーズン、「伝説」の先へ進み続ける遠藤のさらなる進化を楽しみにしたい。
(取材・文:舩木渉)
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