「信念が生んだゴールだった」
「みんなが最後まで諦めず、自分たちを信じ続けたことで得られた報いだ。シュトゥットガルトのファミリー全員にとって素晴らしい瞬間だった」
そう語ったマタラッツォ監督は、劇的なゴールでチームを1部残留に導いたキャプテン遠藤を手放しで称賛した。
「この夜を忘れることはない。ファン・サポーターも、選手たちもそうだろう。信念が生んだゴールだった。ワタルに完璧にふさわしいゴールだ。彼は何ヶ月も、何年間も、シュトゥットガルトのために走り続け、キャプテンマークにふさわしいことを証明してきた。素晴らしいリーダーであり、私はワタルやチームのみんなと共にゴールを非常に喜んでいる」
ドイツ語が完璧ではなく、残留争いで厳しい状況に立たされたことで、遠藤のリーダーシップを疑問視する声もあっただろう。だが、マタラッツォ監督からの信頼が薄れることはなかった。
「確かにワタルはドイツ語をほとんど話せないが、素晴らしいキャプテンだ。キャプテンというのは、みんなを巻き込みながら引っ張っていける存在でなければならない。だから彼を選んだ。1人で背負い込むのではなく、他の選手たちにもチームに対する責任感を持たせる存在なんだ」
そもそも東京五輪期間中に遠藤をキャプテンに指名したのは「模範を示す完璧なプロ選手だから」と、マタラッツォ監督は『SWR』という現地のトーク番組で語っていた。その指揮官からの全幅の信頼に応え、最後の最後でチームに対する「責任」を果たしたのである。