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横浜F・マリノス、Jリーグ1勝目も500勝目も“聖地”国立競技場で。両ゲームに立ち会った水沼宏太「運命的なこと」

text by 編集部 photo by Getty Images

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水沼宏太
【写真:Getty Images】



横浜F・マリノス、J1通算500勝達成!

 明治安田生命J1リーグ 第19節が2日に行われ、横浜F・マリノスは清水エスパルスに5-3で勝利を収めた。



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 マリノスはこれで史上2クラブ目のJ1通算500勝を達成した。1勝目は国立競技場で行われた1993年5月15日のJリーグ開幕戦、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)戦。そして、500勝目の節目も“聖地”国立競技場で迎えることとなった。

 クラブとしての節目の1勝目と500勝目、それら両方に現場で立ち会った選手がいる。それはマリノスのMF水沼宏太だ。1993年当時、父・水沼貴史氏が現役選手として横浜マリノス(当時)に在籍し、Jリーグ開幕戦のピッチにも立っていた。

 水沼はその試合をスタンドから観戦。同じ国立競技場で500勝目の立役者となり「記憶はないけど、会場にいて1勝目を見届けられたところから、こうやって歴史を作る機会に自分が携われたというのは改めて幸せだなと感じます」と語る。

「今まで歴史を作ってくださった偉大な先輩たちに感謝をしつつ、僕たちもその歴史の中にいることができたのは本当に良かったと思います。でも、マリノスはこれからもっともっと続いていくクラブだと思っているので、これからも今いる選手たちで、マリノスのエンブレムを背負っている限り、その誇りを持ってやっていけたらいいなと思います」

 500勝目は節目だが、あくまで通過点。これで終わりではなく、501勝、502勝、503勝……と1つずつ勝ちを積み重ねていった先に「今」のマリノスが目指すゴールがある。クラブ創設30周年の今季は、3年ぶりのリーグタイトル獲得が最大の目標だ。ここで立ち止まるわけにはいかない。

「500勝というのも、僕は前節くらいに知った。とにかく僕らは一番上を目指し戦っている中で、こういう運命的なことがあったので、それも踏まえて、今年はやっぱりチームも30周年ですし、必ず(優勝を)狙っていかないといけないなと改めて感じさせられる1日にもなりました」

 2020年から再びマリノスのユニフォームに袖を通し主力として活躍している水沼だが、2008年から2010年にかけての前回在籍時は出場機会そのものが少なく、国立競技場での試合に出場することは叶わなかった。

 唯一のチャンスは2008年に行われた東京ヴェルディ戦だった。ベンチ入りするも、出番はなし。今回、14年越しにマリノスの選手として初めて国立競技場のピッチに立って、決意を新たにしているようだった。

「(2008年の試合で)僕はベンチにいて、まだプロ1年目で、悔しい思いをしたというのがありますし、その時はマリノスで出るレベルではないと自分でも思っていました。そういう意味でも、そこから14年くらい経ちますけど、こうやってマリノスのユニフォームを着て国立のピッチに立てたのは、本当に幸せなことだなと、改めて実感しています。(試合が)始まる時はそんなには気にしていなかったんですけど、でもピッチに立つ時に会場に来てくれた皆さんが最高の雰囲気を作ってくれていたので、本当に選手として幸せだなと思います」

 500勝目を達成できたのは、これまで関わってきた選手や監督たちが地道に1つずつ勝利を重ねてきたからこそ。1000勝を目指していますと言ってすぐに達成できるわけではなく、次の試合から再び地に足をつけて前に進み続けなければならない。そして、目の前の試合に全てを注ぐことが目標達成への何よりの近道だと、水沼は理解している。

「最後は一番上に立ちたいという気持ちはもちろんありますけど、それを毎試合考えているわけではなくて、一戦一戦、相手の分析をしているところから、とにかく目の前の相手を倒すことしか考えていない。そういう意味では、みんなが1試合に対して全力を出しきることができている証かなと思います」

 マリノスは清水戦で5連勝を果たし、J1で首位に立っている。決してトップの座は安泰ではなく、全34試合を終えた時に優勝を成し遂げるには、5連勝に満足することなく勝ち続けることが必要だ。気の抜けない戦いは続くが、「『本当に敵わないな』と思わせるくらいみんなで高みを目指してやっていければ」と水沼をはじめ選手たちの目は勝利に飢えていた。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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