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久保建英 2年前

久保建英を待っていた2つの大きな壁。マジョルカでの重要度が低下…。それでもソシエダに評価される理由は?【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

負けない戦い方の中で…



 アギーレ監督は、マジョルカを1部残留へと導くために、勝つ戦い方よりも負けない戦い方を優先した。簡単に言えば“守備重視”である。アトレティコやセビージャ、バルセロナといった格上のクラブに対してはもちろんのこと、ヘタフェやエルチェといった下位クラブ相手にもそれは徹底していた。

 そうした中で久保の序列は一気に下がってしまった。ラ・リーガ初挑戦当時と比較すれば同選手の守備意識は確実に上がっていたのだが、やはりインテンシティーという部分はまだまだ物足りない。そのため、アギーレ監督が採用する守備重視の戦術において、久保の必要性というものが薄れてしまったのである。

 事実、アギーレ監督が指揮したリーグ戦9試合中、久保が先発入りを果たしたのは第33節アラベス戦と第35節グラナダ戦の2試合のみだった。その2試合の内容も最悪で、アラベス戦は82分までのプレーでタッチ数わずか30回。グラナダ戦では自身のボールロストから失点を招いており、チームも2-6の大敗を喫するなど、あまりにも残した印象が悪すぎた。

 残留に向けて後がなかったラスト3試合の合計プレータイムは、たったの42分間しかなかった。最終節オサスナ戦では、90分間をベンチで過ごしている。これは久保にとって、2021/22シーズン初の出来事だった。

 チームはラスト3試合で2勝1分の成績を残し、見事に目標であった1部残留を勝ち取っている。結果としてアギーレ監督の“やり方”は正しかったということで、久保にとっては少し屈辱的な結末になったと言えるだろう。

 日本人レフティーの2021/22シーズン最終成績は、リーグ戦28試合1得点1アシスト、公式戦では31試合2得点3アシストとなった。この結果を受け、スペイン紙『AS』は「マジョルカで重要度が低下していき、前進は止まってしまった」と厳しい評価を下している。また、マジョルカ再加入時1500万ユーロ(約18億円)あった市場価値は、今月上旬の更新で750万ユーロ(約9億円)まで一気に下落(『transfermarkt』を参照)。これだけでも、久保の2021/22シーズンがいかに厳しいものとなったかがわかるだろう。

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