個人の責任ではない得点力不足
ゴールやアシストを増やして完全復活を印象づけられなかった要因は、今季のポルティモネンセのチーム全体にもありそうだ。2017/18シーズン当時とは監督も戦術も違うため単純な比較は難しいが、改めてチームスタッツも見てみたい(カッコ内はリーグ内での順位)。
▽2021/22シーズン
順位:13位
勝ち点:38(10勝8分16敗)
総得点:31
総失点:55
1試合あたりの枠内シュート数:3.9本(9位)
ビッグチャンス創出数:21回(18位)
1試合あたりのゴール数:0.9(15位)
1試合あたりの失点数:1.3(10位)
クリーンシート数:10回(7位)
1試合あたりのGKセーブ数:3.5回(3位)
1試合あたりのパス成功数:304.7回(12位)
1試合あたりのアタッキングサードでのポゼッション回復回数:3.3回(16位)
▽2017/18シーズン
順位:10位
勝ち点:38(10勝8分16敗)
総得点:52
総失点:60
1試合あたりの枠内シュート数:4.6(5位)
ビッグチャンス創出数:42(5位)
1試合あたりのゴール数:1.5(5位)
1試合あたりの失点数:1.8(16位)
クリーンシート数:4回(18位)
1試合あたりのGKセーブ数:2.9回(10位)
1試合あたりのパス成功数:274.6回(10位)
1試合あたりのアタッキングサードでのポゼッション回復回数:2.9回(12位)
偶然にも2017/18シーズンと2021/22シーズンは勝ち点も勝ち、負け、引き分けの数も同じだった。しかし、大きく違うのは「得点」に関するデータだ。2017/18シーズンは総得点がリーグ5位の「52」だったのに対し、2021/22シーズンの総得点は「31」でリーグ15位である。つまりしたから4番目という低水準だった。
2017/18シーズンはFWファブリシオが15得点でチーム内得点王、10得点の中島でも2番目だった。ところが今季はチーム内得点王が冬に湘南ベルマーレから復帰したFWウェリントン・ジュニオールでわずか5得点。中島もファブリシオも1点ずつしか挙げられなかった。
それでもチームとして同じ勝ち点を積み上げられたのは失点が減っているからに他ならない。GKサムエル・ポルトガルが上位クラブから注目されるまでに成長し、2017/18シーズンに比べて1試合あたりの失点数は0.5点も減っている。クリーンシートの数は2倍以上になった。
ポルティモネンセが35ポイント前後を積み上げて中位から下位を争う立場なのは、4シーズン前から現在まで変わっていない。その中で守備が改善されていながら攻撃で決め手を欠いたのは、中島だけの責任ではないだろう。