移籍の可能性も否めない理由は?
「彼はオフェンス面で多くのものを提供し、ディフェンス面でもとても頼りになる選手だ。今の彼を見ていると、トレーニングでも試合でも、精神的に非常にシャープであることが分かる。本当に全力を尽くしているんだよ」
シュミット監督から高く評価された堂安は、後半戦もコンスタントにプレータイムを重ね、2月に入ってからはほぼ1試合1点ペースで得点を奪っていた。チームは第20節と第21節の連敗が大きく響きエールディビジ優勝を逃すことになったが、KNVBカップは決勝でアヤックスを2-1で下し制覇。同大会で196分間プレーした堂安は、日本人初の優勝経験者となっている。
PSV復帰1年目となった日本人レフティーの最終成績は、公式戦39試合出場11得点3アシストだった。エールディビジで8得点、KNVBカップで2得点、UEFAカンファレンスリーグ(UCL)で1得点だ。決して爆発的な数字とは言えないが、遅れてのチーム合流、さらに細かい怪我があった中でシーズン2桁得点に乗せたのはポジティブな結果と言っていいだろう。チーム内でシーズン2桁得点を記録したのは堂安含めガクポ(21得点)、ザハヴィ(20得点)、マリオ・ゲッツェ(12得点)、ブルマ(10得点)の5人しかいなかった。
現地メディアからも高い評価を得るなど、PSVでの再チャレンジを良い形で終えた堂安だが、来季もPSVでプレーを続けるかはわからない。同選手を高く評価し引き留めに動いたシュミット監督の退任、そしてルート・ファン・ニステルローイの新監督就任がすでに決まっているので、ファン・ニステルローイ新監督との話し合いの結果によっては十分退団もあり得る。
実際、堂安も移籍の可能性を否定していない。「ファン・ニステルローイは私にとって伝説の選手です。子供の頃、マンチェスター・ユナイテッドとレアル・マドリードで彼の試合を観ていました。彼と一緒に仕事をするのは素晴らしいことだと思いますが、お互いに誠実でなければならない。自分のキャリアや将来についても考えなければなりません。たくさんプレーしたいし、夢はチャンピオンズリーグ出場です。それはPSVでかもしれないし、他の場所でかもしれないです」と『VI』は堂安のコメントを伝えている。
確かに言えることは1つ、堂安にとって大きな自信がつく2021/22シーズンになったということだ。今後PSV残留を決断したとしても、噂が出ているマインツに移籍したとしても、その自信は必ず活きてくるはず。日本の未来を担い得るレフティーのこれからに、ますます注目だ。
(文:小澤祐作)
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