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「全然やれている感覚はない」三笘薫が苦しんだベルギー1年目。「出るためにWBが最適だった」【21/22欧州日本人総括コラム前編】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

日本代表を救うヒーローに

三笘薫
【写真:Getty Images】



 より周囲との関係性を深めて、ウィングバックからでもゴールやアシストに絡む場面を増やす。そんな展望を描いて後半戦を迎える……はずだった。ウィンターブレイクに実施されたスペインキャンプ中の練習試合で、三笘をアクシデントが襲う。今年1月8日に行われたセルクル・ブルッヘとの練習試合中に、右足首を捻挫してしまったのである。

 結局、この負傷によって1ヶ月以上の離脱を強いられ、復帰できたのは2月下旬のこと。リーグ首位を快走していたユニオンでは、ポジションを取り戻すために再びアピールが必要な立場になっていた。

 そんな中で3月下旬に4ヶ月ぶりの日本代表復帰を果たした三笘は、ヒーローになった。「この1試合にチームとしても個人としても命がけで戦おうと思います」と宣言していた3月24日のオーストラリア代表戦で途中出場から約10分間で2得点を挙げる大活躍を披露。日本代表をカタールワールドカップ出場権獲得に導いた。

「今日の試合で決めるというのは全選手が思っていたので、(ピッチに)入った時には攻撃的にいこうと思っていましたし、チーム全員がそういう矢印に向いていたというのはすごくよかったなと。自分自身も今日、結果を出さないといけないと思って臨んでいたので、それが前への推進力になったんじゃないかと思います。2点目はいかなくてもよかったところもありますけど、体が勝手に動いた感じですね」

 後半アディショナルタイムの94分、左サイドでボールを持った三笘は一瞬の加速と切り返しで相手ディフェンス2人を置き去りにし、右足を振り抜く。「命がけ」の覚悟が宿ったシュートは、GKマシュー・ライアンの手を弾いてゴールの中に転がっていった。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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