新しいものは何もない。ポジティブに考えれば…
三笘の投入から、三笘の大外と伊藤のハーフスペース、南野の中央と立ち位置が明確になったものの、アイデアは相変わらずほぼ戦術・三笘。三笘と伊東は間違いなく警戒される。チュニジア代表も三笘には二重三重の壁で対処していた。
それでもこれしかないのが目下の課題だが、相手が伊東と三笘に引き寄せられるので違う攻め込みルートを見出すのは比較的容易なはずだ。ワールドカップを考えると、結果的にまだそれを見せていないのはポジティブに考えれば良かったかもしれない。
70分に久保建英と堂安律が交代出場。この2人のコンビネーションが期待されたが、相変わらず決定版といえるほどの威力は示せなかった。古橋亨梧の活かし方も依然として判然としない。
カードはいくつか切っているけれども新しいものは何もなく、三笘と伊東の個人技以上の効果も出ていない。EAFF E-1サッカー選手権でよほどの発見でもないかぎり、ワールドカップまでこのままになりそうだ。
最後にさまざまな課題を露呈して敗戦となったわけだが、過去のワールドカップでも日本代表は現実に直面して開き直ったときのほうが力を発揮できる傾向があるので、ラストスパートに期待したい。
(文:西部謙司)
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