軽率な守備
そして、勝ちを逃したもう一つの原因は、守備時のマークの受け渡しだ。
先述した通り、ドイツ代表は守備時に左ウイングバックのラウムを最終ラインまで下げて4バックを形成していたが、最前線で自由にポジションを変えるケインを捕まえることが出来ていなかった。誰がマークに付くのか、プレスに行くのかが明確になっておらず、野放しになってしまっていた。
26分のコーナーキックの場面では、ファーサイドでケインがフリーになっていたが誰もマークに付かず、シュートを打たれている。運よく枠を外れたが、失点していてもおかしくない場面だった。さらに、29分にはバイタルエリアでボールを持たれるとペナルティーエリア手前まで運ばれ、チャンスを作られている。
そして、85分のファールの場面でもケインには誰もマークに付いていなかった。シュロッターベックは背後のケインに気づかず、後ろから足を引っかけてしまいPKを献上している。
このファールはラウムがマークに付くか、シュロッターベックにしっかり受け渡しが出来ていれば防げたはずだ。ボールに目が行き、最も警戒すべき選手を疎かにしてしまったために、試合終了目前で勝ちを手放してしまった。
フォーメーションや大幅な選手の変更で難しさはあったかもしれない。だが、点が取れない以上、強固な守備を築かなければ、今後の試合も勝ち切ることは難しくなるだろう。
(文:阿部勝教)
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