戦術は機能していたが…
先述したように、ドイツ代表は前節から3-4-2-1へフォーメーションを変更。両ウイングバックが高い位置を維持し、ハイプレスからのショートカウンターやターゲットマンのハフェルツへのロングボールから裏への抜け出しを狙っていたが、両ウイングバックが同じ働きをしていたわけではない。
左ウイングバックのダヴィド・ラウムは主にサイドライン際でプレー。従来のサイドバックのように上下動をし、攻撃時は高い位置に、守備時には最終ラインまで下がって4バックを形成していた。
一方の右ウイングバックのホフマンは中央寄りポジションを取っていた。最前線のハフェルツに近い位置でプレーし、ダイアゴナルランで相手CBの背後を狙い、GKまでプレスをかけるなど、常に高い位置を保っていた。
23分のシュロッターベックのロングボールからホフマンが抜け出し、38分には敵陣でハイプレスをかけてボールを奪い、イルカイ・ギュンドアン→ジャマール・ムシアラ→ダヴィド・ラウムと繋いで、左からのクロスにハフェルツが頭で合わせた。ドイツ代表は狙い通りの攻撃で再三相手ゴールに迫っており、先制点をホフマンが決めたことを見れば、この両ウイングバックを絡めた攻撃がある程度機能していたことは分かるだろう。
しかし、ドイツ代表は10本中9本のシュートをボックス内で放ち、その内6本が枠内を捉えたにも関わらず、決まった得点はわずか1点。今のドイツ代表にはボックス内で得点を量産できるタイプの選手がいないのだ。
チーム内で得点源となっているホフマンやセルジ・ニャブリはサイドを主戦場とする。そのため、この試合のような戦術を取らざる負えない。
サッカーはいかに相手を翻弄し、ゴールに迫ろうが、点を取らなければ勝てないスポーツだ。チャンスは作れるが決められない。それ故に、追加点を決められずに勝利を逃してしまった。