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久保建英「自分の立ち位置が嫌でも見えてしまった」。募る焦り、サッカー日本代表での苦悩明かす【キリンチャレンジカップ2022】

text by 編集部

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久保建英
【写真:Getty Images】



久保建英、21歳の誕生日に苦悩明かす

 サッカー日本代表は6日のブラジル代表戦に向けて調整を続けている。



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 大一番まで2日と迫った4日に21歳の誕生日を迎えたMF久保建英がオンライン取材に応じ、「今年はワールドカップもあって、そのあとのシーズンもイレギュラーな中で、まずはワールドカップを経験できるように頑張って、残りの半年間を大事にしていけたらいいかなと思っています」と抱負を語った。

 しかし、日本代表での立場は厳しい。カタールワールドカップアジア最終予選で出場機会の少なかった選手たちに先発出場のチャンスが与えられた2日のパラグアイ代表戦で、久保はベンチスタート。

 MF堂安律やMF鎌田大地らが好パフォーマンスで森保一監督へのアピールに成功した中、「ある程度、自分の立ち位置が嫌でも見えてしまった」と久保は語る。それによって「正直、焦りは正直生まれましたね」とも。

「(マジョルカでは)基本的には試合に出ていて、出ていなくてもどこか冷静に自分の出番を待っている自分がいました。けど、この前の試合(パラグアイ戦)は正直ちょっと、何と言うんですかね…いろいろ考えることがあって、上手く試合に入れなかったかなとは思います」

 パラグアイ戦は後半途中からピッチに立った久保だが、「焦り」からかプレーに精彩を欠き、らしくないミスも散見された。やはり現状のチーム内序列を覆すような大きなインパクトを残したとは言えない。

「自分が今、どういう立ち位置だというのを教えられた気がした。それはもう認めざるを得ないので、そこから僕が今できることをやる。人は3ヶ月もあれば変われるので、また虎視眈々とチャンスを狙っていきたいなと思います」

 この言葉の通り、チャンスはまだ残されている。特に6日のブラジル代表戦は、改めて自らの価値を証明する絶好の機会だ。「相手が強ければ強いほど燃える」という久保は、「自分たちが劣勢の時の方がいいパフォーマンスが出せる」と自信をのぞかせる。

「あまりビッグゲームで自分の出来に満足いかなかったことがない。格上の相手に『僕、消えていたな』とか『負けていたな』と思ったことがプロになってからあまりないので、そういった意味では僕はやれると思う。

チームがうまくいっていて僕の出番がないかもしれないですし、それこそチームがうまくいっていなくて残り15分くらいで出されるという可能性もあります。いろいろな可能性を感じながら、考えながら、感覚だけは研ぎ澄ませて。出たらやれないことはない」

 久保は昨年9月のアジア最終予選・中国代表戦にトップ下で先発起用されて躍動したが、同月下旬にひざを負傷。10月と11月の大事な代表活動に参加することができず、その間に日本代表はベースとなるシステムを変更して一気に状況を好転させ、今年に入ってから久保の出番はより限定的なものになっていた。

「手応えは感じていた矢先の怪我だったので、本当にもったいないことをしたと言ったらあれですけど、クラブで欲張って中3日くらいで試合に出て、その結果怪我をしてしまった。たぶん同じ試合がもう一度あったら出ますけど、一度チャンスはもらった中で、それを誰も悪くない形でフイにしてしまっている。僕も怪我をしたことは自分のせいだと思っていないですし、だけどそれでまた現状こういうスタートになってしまったのも事実。

代表ってそれくらいの競争があって当たり前で、怪我をして帰ってきて、たかが1試合で自分の次が約束されていると思ったらおかしな話ですし。もし2ヶ月も怪我をして戻ってきた時に自分の席があるなんてことは、どこの代表でもないと思うので、僕は逆に誰かが調子を落とすのを待つというより、何とか自分のできることをやって、また割り込んでいきたいなと。(自分のプレーが)良ければチャンスは生まれると思うので、そこは信じて自分の出番を待ちたいなと、今は客観的に割り切っています」

 久保は「基本的に僕は今まで思い描いた通りというか、ここはこうしなきゃいけないぞという、漫画の提出締め切りみたいなものをある程度決めてサッカーをやってきていて、今までは何個か遅れたりはしましたけど、僕の予想の範疇でやってきた」とも語る。だからこそ、うまくいっている時に負った怪我が痛恨だった。

 昨年は「今頃(2022年の夏)には僕がスタメンで出ていなきゃいけないなという思い」があったというが、きっかけをつかんだ中国戦の直後に負傷して「またゼロからのスタートになってしまって、ちょっと計算と合わないなと思ってしまっている自分がどこかにいる」と21歳になった久保は悔やむ。

「一度つかんだものを手放すのはこんなに苦しいのか」

 理想と現実のギャップを突きつけられた今、久保はどん底から這い上がろうともがいている。

「ワールドカップなのでサプライズがあって当たり前だと思うので、自分がここから目指せるものとしては、自分がいい意味でのワールドカップのサプライズになること。大事なのは本番と、このまえ原口(元気)選手が言っていたので、いいサプライズになれればいいかなと思います」

 焦る気持ちや迷いを抑えつつ、今できることに最善を尽くす。それが久保の進むべき唯一の道だろう。遅れを取り戻してワールドカップの舞台で輝くためにも、6月シリーズの残り3試合は極めて重要な機会になる。まずはブラジル戦で改めて真価を証明し、森保監督にアピールしたいところだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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