ブラジル代表戦で問われるものは…
相手のプレッシングを外せるかどうかも、この試合ではよくわからなかった。パラグアイ代表のプレスにパスをつなげない状況にはなっていないが、パススピードが遅くて時間をロスしているケースは散見されている。
相手が速ければそれなりに対処できるのかどうかはこの試合では判然としない。GKシュミットから中央へつないだボールを失う、伊藤のパスが自陣でカットされる場面もあり、多少の危うさは感じられた。
59分に自陣のパスワークをカットされて失点したが、1分後には原口→三笘ですぐに突き放す。2アシストの原口は相手の陣形を動かすポジショニングと攻守のハードワークで安定感をみせていた。その原口が田中に交代してからは鎌田をトップ下に上げて4-2-3-1に変更する。
インサイドハーフの鎌田は攻撃をリードし、守備も無難にこなしている。トップ下となってからの82分には、スルスルとボックス内へ侵入してGKのタイミングを外したアウトサイドのシュートを放つ、テクニックとアイデアのある鎌田らしいプレーもあった。
堂安はエネルギッシュな攻守と正確な左足のパスで存在感を示し、三笘は左サイドで相手を手玉にとっていた。
気持ちよく4-1で快勝し、とくに問題点もない。ブラジル代表戦のスパーリングと選手層の底上げとしては十分な内容だが、ワールドカップを想定するとブラジル代表を相手に何ができるかが重要で、その後のプランを左右するゲームになるだろう。
(文:西部謙司)