影のPOMに選出したいのは…
リバプール戦におけるベストプレーヤーは間違いなくクルトワだ。繰り返しになるが、この男がいなければマドリーの優勝はなかったと言っていい。
しかし、そのクルトワに負けないほどハイパフォーマンスを披露していた人物がいた。それがフェデリコ・バルベルデである。
先述した通り、リバプールの右サイドはマドリーにとって脅威だった。しかし、相手の左サイドからはそこまで崩されていなかった。もちろん、もともとリバプールが右サイドに強みを持っているという事実はあるが、そうなった理由についてはやはりバルベルデの存在が大きいと言える。
豊富な運動量を持つバルベルデはサイドでの上下動をよく繰り返した。守備時にはしっかりと自陣深くまで戻って一列後ろのカルバハルをサポート。それにより、ルイス・ディアス、ロバートソンのいるリバプールの左サイドに対しマドリーの右サイドが質で下回ったり、数的不利になる状況はほとんどなかった。
今季後半戦絶好調であったロドリゴ・ゴエスではなく、バルベルデが本職ではない右ウィングで起用されたのはやはり守備面での貢献度を考えてのことだろう。そういった意味でウルグアイ代表MFは、アンチェロッティ監督の期待に応えるだけの結果を残したと言える。攻守の切り替えの早さ、プレスバックの強度などといった面で物足りなさを感じさせることは一切なかった。
もちろんバルベルデの献身性は守備面だけに留まらない。非凡な推進力を発揮するなど、攻撃面でも確かな存在感を誇示。59分にはヴィニシウスのゴールをお膳立てするなど、目に見える結果も残した。
足をつったバルベルデは85分にエドゥアルド・カマビンガとの交代を命じられたが、それまでの働きぶりは確かにマドリーを助けていた。アシスト1にドリブル成功数3回、デュエル勝利数9回中5回(データサイト『Sofa Score』参照)は決して悪くない数字である。
CL決勝という大舞台で確かな存在感を示したバルベルデは、ますますマドリーにとって重要なピースになっていくはず。本人にとっても、非常に大きな自信がつく1日となったはずだ。
(文:小澤祐作)