たった一度の隙を突き歓喜を呼び込む
59分、劣勢の中マドリーは先制に成功する。右サイドを駆け上がったバルベルデがボックス内へ鋭いグラウンダーのボールを送ると、ファーサイドでフリーとなっていたヴィニシウスが冷静に押し込んだ。リバプールは10本以上シュートを放って0点だったが、マドリーはたった2本でリードを奪ったのである。
試合展開に大きな変化はなかった。上記したことからも分かる通り、それまでマドリーのシュートは1本。対してリバプールは後半開始から失点するまでの間だけでも4本のシュートを記録していたなど、前半同様、先にスコアを動かす可能性はリバプールの方が高かったと言える。
しかし、マドリーは一瞬の隙を見事に突いたのである。
カゼミーロからモドリッチにパスが渡ると、アンドリュー・ロバートソンが持ち場を離れ飛び出してきた。しかしモドリッチはボールを失わず、ダニエル・カルバハルに縦パスを差し込んだ。そしてカルバハルは内側のカゼミーロにパス。そのカゼミーロが右サイドのバルベルデに展開し、マドリーの攻撃は加速した。
ロバートソンがいないことで、バルベルデは余裕を持ってボールを持つことができた。ファン・ダイクはカバーに回っていたが、バルベルデの外側をカルバハルが走り込んでいたため迂闊には飛び込めず。結局バルベルデはストレスフリーのまま右足を振り切ることができ、ヴィニシウスのゴールを演出したのだ。
マドリーがしっかりとボールを繋いでリバプール守備陣を崩したのは恐らくこのシーンが初めてだった。ロバートソンが出てきてくれたことで結果的には右サイドのスペースを突くことができたわけだが、その相手のたった一つの隙を見逃さずゴールという最高の形に結びつけてしまうのは、流石だった。
その後ユルゲン・クロップ監督はディオゴ・ジョタ、ロベルト・フィルミーノ、ナビ・ケイタらを投入し攻撃的な布陣に変更。その中でマドリーは何度か決定的なシーンを作られた。しかし同点ゴールは許さず、1-0のまま試合を締めることに成功。シュート数3本、被シュート数23本(UEFA公式サイトを参照)でビッグイヤーを掴み取った。