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Jリーグ 3年前

衝撃の0-4。なぜ湘南ベルマーレはJリーグ王者を攻略できたのか? デュエル勝率36%でも勝つ「湘南スタイル2022」【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

湘南スタイル2022



 たしかに、1つ1つのデュエルでは川崎が勝っているシーンが多い。しかし、湘南のプレスは1人が剥がされても、2人目、3人目と続く。2人剥がされても、3人目で奪えればいい。たとえば、4点目のショートカウンターは、パスを受けた脇坂泰斗に3人が寄せている。デュエル勝率という数字自体が低かったとしても、効果的なディフェンスをしているのは湘南の方だった。

 この日の湘南は決してミスを恐れずにチャレンジし続けた。レアンドロ・ダミアンへ楔のパスが入ると、3バックの一角は激しく身体を当てた。そこでボールが取れなくても、周りの味方がセカンドボールを拾う。誰かが自分のポジションを捨てても、隣の選手がカバーに入る。個の技術で劣っていたとしても、チームとして戦えていた。

 前述した「誰がどういう状況にあるかを理解しながら、状況を見ながら判断できるようになったのかなと思います」という山口監督のコメントからもわかる通り、的確な状況判断がチャレンジできる環境を作っていた。

 湘南の積極性を象徴していたシーンが0-4となった後にあった。61分に0-4となり、65分、66分と立て続けに湘南はファウルにより警告を受けている。イエローカードを提示されたのは4点目を挙げた直後に投入された瀬川祐輔と山田直輝。彼らのアグレッシブなプレスは、積極的な姿勢を貫くというメッセージをチームに与えていた。

 ミスを恐れずチャレンジし続けることで、湘南が思わぬ成果を生み出すことはこれまでも何度かあった。2018年には横浜F・マリノスを下してYBCルヴァンカップを制し、2019年には浦和レッズや鹿島アントラーズから超劇的な勝利を収めている。それらの試合と同じように、この川崎戦もベルマーレというクラブの歴史の1ページに刻まれるだろう。

 指揮官や選手が変わっても、湘南スタイルの根底にあるものは変わらない。そして、山口監督の下で2022年バージョンにアップデートされつつある。

(取材・文:加藤健一)

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