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究極の5分間。マンチェスター・シティはなぜ逆転できたのか? 融合した交代選手3人と司令塔【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

有機的に混ざり合う交代選手と司令塔



 まずは76分、右ウイングに入ったラヒーム・スターリングのクロスにファーでイルカイ・ギュンドアンが合わせて1点を返す。途中出場の2人から生まれたゴールにより、エティハド・スタジアムは正気を取り戻したように見えた。

 その2分後、ジンチェンコが左サイドから中央に切れ込む。相手を1人かわしてペナルティーエリアからマイナス方向へパスを出すと、これに反応したロドリが低い弾道のシュートをダイレクトで突き刺す。シティは勝機を完全に掌握した。

 こうなるともう止まらない。同点弾から3分後の81分、低い位置で絞ったカンセロが球足の長いスルーパスを右のポケットに送る。これはジェズスに通らなかったが、セカンドボールをデ・ブライネが回収し、ゴール前に低いクロスを入れる。これに走りこんだのはまたしてもギュンドアン。およそ5分間で2点差をひっくり返してしまった。

 幅を取ってハーフスペースを突くという一連の流れが、3得点の共通項だった。1点目はジェズスがポケットでタメを作ってから大外のスターリングへ。2点目は大外からジンチェンコが個人技でカットインした。3点目は直接ボールには関与していないが、スターリングが右サイドに開いている。

 スターリングとジンチェンコが大外の高い位置でサイドバックを引き付けることで、ポケットにスペースが生まれる。ここをセンターバックや中盤の誰かが埋めたとしても、ファーサイドは必ずと言っていいほど空く。相手の死角から顔を出すギュンドアンの絶妙なポジショニングと、そこにパスを通せるデ・ブライネらの技術が有機的に混ざり合った5分間だった。

 アンフィールドではリバプールが逆転に成功したが、それはシティには関係なかった。最後は執念のボールキープで時間を潰し、ドラマチックな逆転勝利を完成させている。エティハド・スタジアムに訪れた5万3395人が、世界一素晴らしい5分間を目撃した。

(文:加藤健一)

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