選手層だけではない強さ
なかなかチェルシーの固いディフェンスを崩せず、負傷離脱者が続出して延長戦にもつれ込んでもチームは大崩れせず、さらに大観衆の視線が注ぐPK戦を制することができた背景には、このような科学的トレーニングによって強化された「メンタル」があったようだ。
もちろんファビーニョに代わって先発したジョーダン・ヘンダーソン、サラーに代わったディオゴ・ジョタ、ファン・ダイクに代わったジョエル・マティプと、多少の選手が入れ替わってもチーム力が落ちない“総合力”の高さも、チェルシーとの死闘を制し切った要因だろう。ローテーションを組んでも強さを維持できるからこそ、過密日程の中でもカラバオカップを制し、チャンピオンズリーグ(CL)のファイナルに進出し、そしてこのFAカップを制することができたところはある。そして、理論上は、プレミアリーグ優勝の可能性も残している。
しかし、そもそもそのローテーションに左右されない強さを支えたのは、日頃の戦術面の練習だけでなく、そこに『Nuero11』社が開発したメンタル強化のトレーニングをシームレスに統合したことで強化されたメンタル面、だったようだ。
さらには、その『Nuero11』のプログラムによって向上したシュート精度で、リバプールは、FAカップの決勝でチェルシーとのPK戦を制した。言うなれば、科学的なトレーニングで鍛えられた“根性”によって、世界最古のカップ戦を勝ち切ったのかもしれない。
(文:本田千尋)
【次ページ】【動画】リバプール対チェルシー ハイライト