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冨安健洋、アーセナルの左SBで活きた“特性”とは? 「今日のために」アルテタ監督が与えた役割とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

冨安を左SBで起用した意図とは?


 そしてこの試合の勝利に欠かせなかったのが冨安健洋だ。前節ウェストハム戦で途中交代となったことで出場が危ぶまれていた冨安だが、左SBとして今節のスタメンに名を連ねた。

 冨安を左SBで起用した意図について問われたミケル・アルテタ監督は「今日のためにやったことだ」と回答。リーズはエースのパトリック・バンフォードがシーズンの大半を怪我で欠場している中、右WGのハフィーニャに攻撃面で依存しており、冨安はリーズ攻撃陣のストロングポイントを抑える役割を与えられてピッチに立った。

 この指揮官の期待に対し冨安はハフィーニャを完封し、与えられたタスクを遂行した。データサイト『Sofa Score』によるとハフィーニャはこの試合で1度もドリブルを成功させることができなかったそうだ。

 今後の試合を考えてリーズは60分に既にイエローカードを貰っていたハフィーニャをベンチに下げることを決断。ハフィーニャの代わりに冨安が対峙したダニエル・ジェームズに対しては、64分にファウルを犯してイエローカードを提示されるが、それ以降は対人戦の強さとスピードを活かしたカバーリングでリーズの攻撃のチャンスを潰した。

 アーセナル加入後初の左SBでの出場となったが、守備だけでなく攻撃面でも貢献度が高かった冨安。キーラン・ティアニーやヌーノ・タバレスと違って右利きであるため左足でクロスを上げる機会はあまりなかったが、カットインすると見せかけて大外でフリーになっているマルティネッリに絶妙なタイミングでパスを出すなど右利きの特性を活かしたプレーが多かった。

 英『Football.London』によると冨安はファイナルサードで40本のパスを記録し、その全てを成功させたそうだ。アルテタ監督にとって冨安のパフォーマンスは期待以上のものだったに違いない。

 今節の左SB起用は「ノースロンドンダービーに向けたものではない」とアルテタ監督が語ったことから、冨安はミッドウィークに開催されるトッテナム戦では従来の右SBに戻り、ソン・フンミンと対峙することが予想されている。ハリー・ケインはもちろん、プレミアリーグの得点ランキングで2位のソン・フンミンを抑えなければトッテナムに勝利することは難しいだろう。冨安は今節同様に相手キーマンを抑えることができるのだろうか?
(文:安洋一郎)

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