バルサに欠けていたのは…
試合後にシャビ監督は「我々にはスタイルと魂がある」とコメントを残したが、まさに“往年のバルサイズム”を発揮して、バルサはベティスに勝ち切ったのである。決勝弾を叩き出したのがアウヴェスとアルバだということが、何よりバルサの「魂」の現れと言えるだろう。
もっとも、シャビ監督は「我々はチームのメンタリティを変えたが、しかしタイトルを勝ち取るためのメンタリティに変えなければならない」と、さらに貪欲な姿勢を見せている。確かにチームは、昨秋はCLのグループリーグで敗退するなど、ひと頃の泥沼にハマりこんだ時期を抜け出し、このベティス戦で示されたように「メンタリティ」は変わった。
だが、クラブ生え抜きの指揮官からすれば、リーガの2位は「バルサ」に相応しいポジションではない、ということなのだろう。スペイン国内はもちろんのこと、CLの王座に君臨してこそ、バルサは本来の輝きを取り戻すことができる。だからこそ、シャビ監督は劇的勝利のベティス戦の後で、次のようなコメントを残したのだろう。
「私はハッピーだが、 我々はこの試合を分析する必要がある。我々には何が欠けていたのか、を。忍耐なのか、スペースでの攻撃なのか、ターンオーバーなのか…」
このようにクラブレジェンドの指揮官が話すように、試合そのものを振り返ると、バルサはベティスを相手に主導権を握った、とは言い難い。試合後のスタッツを参考にすると、ポゼッションの数字上では57.7%と上回っている。
しかし、実際の試合内容では、特にフレンキー・デ・ヨングとガビの両インサイドハーフは敵のタイトな守備に苦しみ、アンカーのセルヒオ・ブスケッツも含め、バルサの中盤は安定してパスを繋ぐことができず、ボール支配でベティスを相手に優位に立つことはできなかった。試合後のスタッツが57.7%に達したのは、おそらくベティスの強度が落ちてきた終盤の猛攻が関係しているのだろう。
このベティス戦でバルサに「欠けていた」ものを一言で表すとすれば、「ペドリ」、ということになる。シンプルに敵を剥がしてパスを繋ぐ、という技術に長けた選手を中盤に欠いたことで、バルサはベティスを相手にポゼッションで優位に立つことができなかった。