アギーレ監督を納得させる材料が少ない
セビージャ、ラージョ・バジェカーノ、オサスナとの試合を残すマジョルカの残留へ向けた道のりはかなり厳しいが、久保個人の立場もかなり厳しいと言える。このままではレアル・マドリード復帰はもちろんのこと、レンタルでのステップアップすら難しくなってしまうかもしれない。
現状、日本人レフティーはアギーレ監督を納得させる材料を揃えることができていない。テクニック面はマジョルカの中で抜けているものがあるが、今季リーグ戦では1得点のみと決定的な仕事を果たせるわけではないし、爆発的なスピードや他を圧倒するようなフィジカルを持っているわけではない。
そして体力面でも他の選手とはかなりの差がある。
今回のグラナダ戦では、40分の時点で1人だけ腰に両手を当てる姿がみられていた。ボックス内へ走力を活かし飛び込む回数はDFマフェオの方が多く、ビジャレアル時代より意識は向上したかもしれないが戻り切れていないシーンもまだまだ目立っている。これが違いを生み出せるリオネル・メッシのような選手ならばまだ許されるかもしれないが、そうでない久保の場合は「ただ動きが少ない」というネガティブな部分だけが残ってしまう。守備に重点を置くアギーレ監督の眼には、そうした部分がより色濃く映っているのは確かだろう。
数字を残せないならば、せめてもっと献身的な姿勢をみせなければならない。しかし、グラナダ戦ではその両方でインパクトを残せなかった。次節の相手は格上セビージャ。マジョルカが守勢に回るのは明らかなので、久保が再びベンチスタートになる確率は高いだろう。このままでは、“ただ上手いだけの選手”になってしまう。
(文:小澤祐作)
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