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鎌田大地はさらなる“進化の兆し”を見せた。フランクフルト悲願の決勝進出、効果的だった判断とは?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

垣間見えたさらなる進化の兆しとは?



 そしてフランクフルトが落ち着いてボール・ポゼッションを高めたことで、ウェストハムの選手たちは自陣に戻らざるを得ず、それは同時に敵のカウンターの芽を摘むことにもなった。これまでブンデスリーガでプレーしてきた多くの日本人選手がそうだったように、鎌田のようなゲーム全体を見渡せる冷静沈着な存在は、フランクフルトにとって、レンジャーズとの決勝戦でも欠かせないピースとなるはずだ。

 さらに、このウェストハム戦では、鎌田のさらなる“進化の兆し”が垣間見えた。66分、15番を背負う日本人MFは、23番からのパスをボックスの手前で受けようとしたが、トラップミス。ボールは流れ、シュートを打つことは出来なかった。もっとも、パスを受けようとした場所は敵のDFラインとMFデクラン・ライスの間という、いわば“ライン間”で、プレッシャーのかかる難しいスペースだったので、トラップし損ねたのも無理はない。

 しかし、例えばバルセロナ所属のスペイン代表MFペドリは、このような“ライン間”で着実にボールをコントロールし、チャンスやゴールを演出する。もちろんペドリの足元の技術が世界トップレベルだからこそ、これは成し得る芸当ではある。だが、そもそも鎌田も足元の技術には定評のある選手。その技術をさらに磨き、“ライン間”での安定したプレーを実現することができれば、ヨーロッパの中でもさらに怖い選手となることができるはずだ。

 チーム内では比類なきスタイルでクラブ史上初の快挙に貢献した日本人MFは、レンジャーズとのファイナルで、さらなる進化を遂げるのかもしれない。

(文:本田千尋)

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