効果的だった鎌田大地の判断
ロンドンでの1stレグで獅子奮迅の活躍を見せた日本人MFは、ダイレクトプレーとボールキープを巧みに使い分け、フランクフルトのチーム全体のバランスをコントロール。後方からのビルドアップに関与するだけでなく、ゴール前にも顔を出して、隙あらば得点を狙う姿勢を見せた。
特に際立っていたのは、71分のカウンターの場面。左サイドで最前線を走る鎌田は、中央のボレからのパスを貰うと、一旦停止。左の大外を走るフィリップ・コスティッチにはボールを出さず、後ろに戻した。コスティッチは「パスをくれよ」と言わんばかりに両手を広げ、少し不満気な様子だったが、結果的には、この鎌田の“判断”はフランフルトの敵陣での安定したポゼッションに繋がり、落ち着いて時計の針を進めることができた。
もしコスティッチにボールを渡していたら、セルビア代表のクロスは敵DFに弾かれ、さらなるカウンターを仕掛けられていた可能性もある。2点のリードを奪っているとは言え、試合の終盤に掛けてメンタル面でヒートアップした打ち合いは避けたいところだった。
前日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝でマンチェスター・シティがレアル・マドリードに大逆転劇をしてやられたように、やはり何が起こるか分からないのが欧州カップ戦のセミ・ファイナル。2点のリードをリードとして保つためには、鎌田の冷静沈着なバックパスは、やはり効果的だったと言えるだろう。