ジュビロ磐田に致命傷を与えた鹿島アントラーズ
焦る磐田に致命傷を与えたのが、6分後の2点目だった。中盤の樋口からボールを受けた鈴木が前線を斜めに走る上田に絶妙のスルーパスを供給。背後に飛び出した背番号18は伊藤槙人の前に身体を入れ、豪快に左足でネットに突き刺した。
「優磨君が寄ってきたのが見えたので、スペースを空ける意味でプルアウェイを始めて、彼が前を向いたタイミングで斜めにダイヤゴナルランをしようというイメージがあった。お互いの特徴が出たゴールだったと思います」と進境著しい点取り屋は自信をのぞかせる。
これには磐田のベテラン・遠藤も「つねにゴールに向かってプレーするので、敵としては脅威になる選手。得点パターンも非常に多くてホントに厄介。前半の2失点が重くのしかかった」と神妙な面持ちで語ったほど。上田が磐田に甚大なダメージを与えたのは間違いないだろう。
それでも、磐田としてはこのままアッサリと負けるわけにはいかない。伊藤彰監督は後半開始時にファビアン・ゴンザレスと大津祐樹を投入。前線を1トップから2トップへと変更し、攻撃を加速させた。その采配が奏功し、前半とは戦況が一変する。
そして後半26分、遠藤の右ショートコーナーを途中出場の山本康裕が中に入れ、ファビアン・ゴンザレスがヘッド。首尾よく1点を返すことに成功した。
鹿島にしてみれば、チーム全体に嫌な空気が漂ったことだろう。終盤に3失点した4月10日の横浜F・マリノス戦の悪夢が脳裏をよぎった選手もいたかもしれない。その停滞感を打破したのが、エース・上田だった。