フットボールチャンネル

鎌田大地は唯一無二。独特な間合いが生み出す重要な“2~3秒”、3年前とは異なるフランクフルトの強みとは?【EL分析コラム】

text by 編集部 photo by Getty Images

フランクフルト、3年越しのリベンジ



 普段のリーグ戦以上に90分間トータルを意識した試合運びが要求される中では、やはりチームに落ち着きをもたらすという意味での“10番タイプ”の選手が必要だ。25分には裏に抜け出して、ボックスの中で切り返して敵DFを翻弄する“らしいプレー”を見せたが、その切り返しも、チーム全体を押し上げるという点で効果的だったと言えるだろう。

 振り返ると3年前にELの準決勝に進出したチームは、鎌田のような“10番タイプ”の選手を欠いていた。当時は、アンテ・レビッチ、ルカ・ヨビッチ、セバスチャン・アラーという3トップの破壊力に頼りがちで、長谷部が引き締める後方と前線を繋ぐ役割を果たせる選手がいなかった。

 もちろん今のチームの前線のアタッカー陣は、2019年当時と比べると迫力を欠くところはある。しかし、ヨーロッパのカップ戦の準決勝という大舞台を戦う上では、鎌田のような、独特の間合いでチームに落ち着きをもたらすことができる選手の方が、チーム全体の総合力を高めるところがある。

 55分には、ジブリル・ソウのシュートをGKが弾いたところを詰め、決勝点を奪った鎌田。79分にはポスト直撃のシュートを放つなど、その得点能力でもウェストハムを脅かした日本人MFは、第2戦でも“10番タイプ”という唯一無二の役割を果たし、フランクフルトを3年前は届かなかった決勝の舞台に導くに違いない。

(文:本田千尋)

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!