鎌田大地がもたらす攻撃のリズム
フィリップ・コスティッチやセバスチャン・ローデ、または長谷部誠のように、3年前のEL準決勝チェルシー戦に立ち会った選手もいるが、当時の死闘を知る者も時の流れの中で少数派となった。何よりチェルシーに敗れて決勝進出の夢は目前で潰えたことで、コスティッチや長谷部たちにとっても、EL準決勝は依然として「キャリアの中で最大のゲーム」と言って過言ではないだろう。
いずれにせよ、このウェストハム戦は、プレッシャーを背負いつつ挑戦心を掻き立てて戦うという点で、いつもとは違うメンタリティで選手たちは試合に臨んだはずである。そんなメンタル・コントロールが必要とされる試合で、鎌田の存在はフランクフルトにとって、かなりの助けとなったに違いない。
先制に至る場面に限らず、鎌田は左のスペースで中継点となるだけでなく、落ち着いてキープする時間を作ることで、少なからずチームに落ち着きをもたらしていた。
キープする“時間”といっても実際には“2~3秒”だが、その“2~3秒”が積もり積もってチーム全体、場合によってはゲーム全体に影響を及ぼすこともあるのがフットボールだ。特に、我を忘れて猪突猛進になりがちなカップ戦の大舞台では、鎌田のような独特の間合いを持つ選手の重要性が際立ってくる。