今のリバプールが「史上最強」である理由
エバートンにも好機がなかったわけではない。前半から戦力差を認めるような形でジョーダン・ピックフォードやリシャーリソンが時間稼ぎをするなど、何としても勝ち点を獲得したかったアウェイチームは確かな狙いを持って攻撃をしていた。
それは高い位置を取るトレント・アレクサンダー=アーノルドの背後のスペースを使うということだ。リシャーリソンやアンソニー・ゴードン、アレックス・イウォビはエバートン側から見ると左サイド、リバプール側から見ると右サイドから何度もカウンターを仕掛けた。
そこに立ち塞がったのが右CBのジョエル・マティプだ。ファビーニョやアレクサンダー=アーノルドがゴードンのスピードに苦戦する中、マティプは冷静に対応。チーム最多の6つのタックルを成功させ、地上戦は6戦6勝という圧倒的なスタッツを残し、最後の最後で自由を与えなかった。(データは『Sofa Score』を参照)
ハーフコートゲームに近い形で相手陣内に攻め込みつつ、カウンターからのピンチも最後の最後で防いだリバプール。攻守に穴がなく、途中出場の選手も大活躍と今のリバプールには抜け目がない。今節終了後にクロップ監督が「彼らは史上最強だ」と発言したのも納得できる。
今季のリバプールは既にカラバオ・カップを制しており、プレミアリーグ、CL、FAカップのその他3つの大会制覇の可能性もある。27日にはCL準決勝1stレグ、ビジャレアル戦、30日のランチタイムにはホームで6連勝中の絶好調ニューカッスルとの対戦が控えている。過密日程な上に難しい対戦相手との試合が続くが、今のリバプールにはそれを乗り越えるだけのクオリティと選手層がある。“4冠”という快挙達成の可能性も十分にあるだろう。
(文:安洋一郎)
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