“バルサ化”の要因はマンUにあり?
クロップ監督は、冒頭に記した「我々にとってパーフェクトな夜だった」と言うコメントの後に、次のように付け加えている。
「このようなことを当然のこととは考えていない」
つまり、ドイツ人指揮官はリバプールの“完全試合”を「当然のこととは考えていない」ということだが、それはつまり、完勝の要因は自分たちにあったというよりは、むしろ相手にあったと解釈することもできる。
レッズに対して[3-4-3]の布陣で挑んできた“赤い悪魔”だったが、ピッチ上に選手は並んでいたものの、それは“強固なブロック”と呼ぶには相応しくなかった。決して強度は高くなく、間延びしがちで、その間をリバプールの選手たちはすんなりとパスを通すことができた。
また、どこでボールを奪うのか、奪った後にどのように繋いでGKアリソンが守るゴールまで至ろうとするのかも不明瞭。よってレッズの選手たちは、容易にカウンタープレスで失ったボールを回収することができた。つまり、相手のマンUの“戦術的統一のなさ”が要因となり、必然的にリバプールのタッチ数、パス数は飛躍的に高まり、支配率も7割を超えたと言えるだろう。
クロップ監督としては、おそらく戒めの意味を込めて「当然のこととは考えていない」とコメントを残したのであろうが、確かに相手の守備組織がスカスカな状態は、プレミアリーグ、FAカップ、さらにはチャンピオンズリーグ(CL)でも「当然のこと」ではない。まさに異例の事態ではあるが、マンUの強度の低さ、守備組織の秩序の無さが要因となって、リバプールは突如“バルサ化”したのである。