「京都サンガを象徴するようなゴールシーン」

　迎えた前半13分。自陣から複数人でスピーディーなビルドアップを見せた京都は、右ウイング・山田楓喜に展開。福岡が中央で受け、ペナルティエリア内に侵入した松田天馬に送った。最終的には彼の隣に走り込んだ左サイドバック・荻原拓也が右足でシュート。見事にネットを揺らすことに成功する。

「（白井）康介君がつけて自分がもらって、１回（武田）将平君に当てて中に入り、自分が受けた時、トラップしてシュートを打とうと思った。でもテン君（松田）が見えたんでそこに出した。その後、オギ君（荻原）が入ってきて点につながった。あれは練習してきた形でもあるし、自信になりました」と福岡は満面の笑みを浮かべた。ゴールを奪った荻原も「京都サンガっていうチームを象徴するようなゴールシーンだった」と目を輝かせた。人が湧いてきたこの攻撃には、リモート采配の曺監督も大きな手ごたえをつかんだはずだ。

　弾みがついた彼らはさらに強度を上げていく。最前線のウタカが相手を追いかけ、山田と松田も追走。中盤に陣取る川崎颯太、福岡、武田の３枚はボックス・トゥ・ボックスでアップダウンを繰り返す。これだけ圧力をかけられれば、柏が思うようにビルドアップできなくなるのも当然だ。

　この苦境を打開すべく、柏は徐々にプレス回避のロングボールを増やし、敵陣深いところまで侵入していったが、今度はコンパクトに守る京都守備陣に跳ね返される。ゴールの糸口を見い出せないまま、前半を折り返すことになった。