久保建英には誰よりも可能性を感じた
最終的に完敗に終わったエルチェ戦だが、久保個人に目を向ければ、決して悪いパフォーマンスではなかった。
先述した通り、久保投入後のマジョルカは違った姿をみせた。同選手はイ・ガンイン、アンヘル・ロドリゲスと共に流動的にポジションを入れ替えながら、何度もチャンスに絡んでいる。贔屓目なしに、最も得点への可能性を感じたのは久保のアクションからだった。
55分には、ジョバンニ・ゴンサレスからパスを受けると、ボックス内でアマトと素早いワンツーを披露。最後の右足のシュートは大きく枠を外れてしまったが、完璧にエルチェ守備陣を攻略していた。
68分には中央でボールを受けると、見事なターンを見せ、そのままドリブルでバイタルエリアへ侵入。最後はフリーのムリキへ絶妙なパスを通した。長身FWのシュートはタイミングが少し遅れたことで相手のブロックに遭ったが、久保にアシストがついてもまったく不思議ではなかった。
84分には鋭い縦突破からモヒカのファウルを誘発。87分にはG・ゴンサレスのパスを受け、狙いすました左足のシュートを披露した。このように、ハイライトに載るようなシーンには、ほとんど久保が絡んでいた。
データサイト『Who Scored』では、久保に最高評価がついている。途中出場ながらシュート数2本、キーパス2本、ドリブル成功数4回と十分すぎる出来だった。またしても結果を残せなかったのは残念なポイントだが、前節のアトレティコ戦に引き続き、非凡な存在であることを証明できたはずだ。
次節、マジョルカは19位に沈むアラベスとの重要な一戦に臨む。中2日でのゲームとなるためスタメンも何人か入れ替わるはずだが、果たして久保はスタートからピッチに立てるのか。注目したい。
(文:小澤祐作)
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