「唯一の問題は、我々が…」
もちろん「今まで1度も一緒にプレーしたことがない」選手同士で4バックを構成したので、どうしても連係不足は否めないし、よってツィミカスやゴメス、コナテらを一概に責めることはできないだろう。
クロップ監督も「ほとんどの時間、彼らはよくやった」と擁護している。そして、だからこそ熱血漢のドイツ人指揮官は「私が7人の選手を入れ替えたから」と、失点の非は自分にあると言いたかったのだろう。
さらに、次のように言う。
「唯一の問題は、我々がボールを失った時の守備が明らかにパーフェクトではなかったことだ。チャンピオンズリーグの準々決勝における守備ではディティールが明暗を分ける」
クロップ監督としては、失点のそもそもの原因は、チームとしての「ボールを失った時の守備」にあると考えているようだ。
しかしこれも、先発が7人も入れ替わったことを考えれば、チームとしての機能を維持するのは難しかったかもしれない。それでも失点の責任を選手個人に負わせるのではなく、監督としての自分、あるいはチーム全体の問題としたのは、クロップ監督ならではのマネージメントと言えるのではないか。特定の選手個人の自信を損なうことなく、チームとして課題を共有し、次の試合へと向かう。
そしてリバプールは「ディティール」の改善を重ねながら、さらなる勝利を積み重ねていくのである。
(文:本田千尋)
【了】