最終ラインに生じた“微妙なズレ”
試合後、ユルゲン・クロップ監督は、次のようなコメントを残している。
「(ベンフィカは)とても強かったし、とても良かった。だが、もちろん、それは私たちの問題でもあった」
熱血漢のドイツ人指揮官によれば、“ベンフィカの反撃”は自分たちが招いたものでもあるという。
「難しかったのは、私が7人の選手を入れ替えたからで、それが1つの要因だ」
このベンフィカ戦の先発メンバーは、1stレグの時から7人が入れ替わっていた。直近のプレミアリーグのマンチェスター・シティ戦からも、7人が入れ替わっている。7人も入れ替えたのは、シンプルに選手の疲労を考慮したローテーションだろう。
特に変更が顕著だったのはDFラインのメンバーだ。絶対的な存在のフィルジル・ファン・ダイクは“お休み”を与えられてベンチを温め、最終ラインは左からコスタス・ツィミカス、イブラヒマ・コナテ、ジョエル・マティプ、ジョー・ゴメスで構成されたが、クロップ監督曰く「このラインは今まで1度も一緒にプレーしたことがない。私は、このメンバーを昨日決めた」のだという。
そこで3つの失点の場面を振り返ると、いずれも“オフサイドの取り損ね”に寄るところが大きい。32分の最初の失点は、ディオゴ・ゴンサウヴェスからゴンサロ・ラモスにラストパスが出たときに、左SBのツィミカスが後ろに残ってしまっていた。73分の2失点目は、右SBのジョー・ゴメスが残ってしまっている。
そして81分の3失点目の場面は、敵陣からロングボールが出る瞬間に、ゴメスは押し上げたのだが、今度は左CBのコナテが残ってしまった。いずれにせよ、最終ラインのコントロールの“微妙なズレ”によって、このベンフィカ戦の3失点は生まれたのである。