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アトレティコ撃破、久保建英は陰の立役者だった。止められる方法はファウルだけ。攻守に示した韓国人MFとの差とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

久保建英と韓国人MFの違いとは?



 久保が入ったことで、流れが徐々にマジョルカに傾いた。久保は相手のビルドアップの際、左ウイングバックのロディへのパスコースを消しながら3バック左のヘイニウドにアプローチし、逆サイドにボールがいくとアンカーのコンドグビアをマークした。これもアトレティコの攻撃がうまくいかなかった原因の1つになっていた。

 久保と比べると、イ・ガンインはあまりプレーの選択肢を持っていなかった。キープ力はあるが、そこから何かをできたわけではない。試合の展開としてマジョルカの前線は数的不利になることが多かったので、サイドに追いやられてプレーを切られるか、囲まれてボールを失うシーンが目立った。チームとしての問題だったのか、守備におけるタスクも不明瞭で、右サイドを浮遊する場面も多かった。

 一方、久保は適切なポジショニングで相手の攻撃の起点を封じるだけでなく、攻撃面でも効果的な働きを見せる。ムリキが孤立していた前半と比べれば、ファイナルサードに侵入する場面は格段に増えている。パス成功率75%はチーム5番目の数字で、わずか50%だったイ・ガンインを上回る。

 先制した後は積極的に仕掛けることでファウルをもらい、時間を賢く消費している。不用意にボールを失う場面は少なく、アトレティコが久保を止める方法はファウルしかなかった。

 残留を争うカディスが敗れたため、マジョルカは残留圏内の17位に浮上した。残り7試合にはバルセロナやセビージャといった上位チームに加え、エルチェやグラナダといった残留を争う直接対決も含まれている。落とせない試合は続くが、この試合で久保が見せた賢さは、マジョルカの残留に欠かせないものになるはずだ。

(文:加藤健一)

【了】

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