理解に苦しむロティーナ監督の招へい
またも苦境に陥っている神戸にとって、一定の守備組織を導入することはもちろんプラスになり得るだろう。だがロティーナの就任について理解に苦しむのは、今回もまた、ノエビアスタジアムにやって来た過去数人の指揮官たちの人選とほとんど関連が見当たらないという点だ。クラブが志向するサッカースタイルに、基礎となる明確な戦術的アプローチがあるとは感じられない。監督の任命にも、またこの部分に関して言えば選手の補強においても、一貫性や根拠がはっきりとは見えてこない。
2020シーズン終盤にトルステン・フィンクの後任を務めることになった三浦前監督は、就任から3連勝を飾って好印象を残した。その後の11試合ではわずか1勝しか挙げられなかったとはいえ、昨年は大幅に状況を改善させ、J1でクラブ史上最高となる3位の成績を残した。
だがその期待も、今年になると泡のように一気に消え去ってしまった。2019年のヴィッセル初タイトルが、フィンクにとって結局は一時の栄光に過ぎなかったのと同じような形だ。ドイツ人指揮官は天皇杯優勝からわずか9ヶ月後の2020年9月、J1で19試合を終えてわずか4勝8分けという低調な戦いを残してクラブを去ることになった。
彼のアプローチが、クラブにようやく待望のトロフィーをもたらしたことは確かだ。とはいえ、その約2年前に名将と評されるフアン・マヌエル・リージョを迎えた神戸が追い求めていたように思える戦い方とはやはり異なるものでもあった。