流れを変えた両利きの怪物
前半を何とか0-0で終えたバルセロナだったが、後半開始早々、セットプレーの流れから最後はアンスガー・クナウフに目の覚めるようなボレーシュートを叩き込まれ、ついに先制点を許してしまう。その後も引き続きフランクフルトの堅い守備、さらに鋭いカウンターに手を焼くなど、なかなかエンジンをかけることができなかった。
そんな悪い流れを断ち切ったのが、62分に投入されたフレンキー・デ・ヨングとウスマンヌ・デンベレの2人と言えるだろう。
この両者がピッチに立ってからわずか4分後、バルセロナは同点に追いつく。中に切り込んだデンベレからデ・ヨングにパスが通ると、デ・ヨングとフェラン・トーレスがワンツーでDFを無力化し、最後はF・トーレスがゴールゲット。まさに、シャビ監督の采配が的中する結果となった。
とくにデンベレの投入は、フランクフルトにとって危険だったと言える。両利きで高いキック精度を誇る同選手は、限られた時間の中でも右サイドにおいて輝きを放った。フランクフルトに疲労の色が出始め、さらにトゥタが退場になったことも影響はしているだろうが、デンベレがいるといないとで攻撃の迫力が違ったことは、この試合をチェックした全ての人が感じたことだろう。
一方、デンベレに代わるまで右ウィングを担ったアダマ・トラオレは厳しい結果になった。強靭なフィジカルと抜群のスピードを活かした縦突破は魅力だが、やはりその他のオプションが少ない。同選手もそれをわかっての上か、フランクフルト戦ではハーフスペースで勝負に挑む場面も多々あったが、正直なところ怖さは半減していた。デンベレとA・トラオレ。右WGの序列が、この試合で改めてハッキリしたと言えるかもしれない。
内容で負けていただけに、デ・ヨングとデンベレという主力2人の力もあってドローに持ち込めたのは、バルセロナにとって非常に大きい。カンプ・ノウでの2ndレグでは、どのようなパフォーマンスを示すだろうか。
(文:小澤祐作)
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