バルセロナが捕まえきれなかった鎌田大地
2シャドーの一角で先発した鎌田は、基本的にハーフスペースにポジショニングし、上手くパスを引き出しては速攻の威力を何度も高めた。この鎌田に対しバルセロナは誰が捕まえに行くのかが曖昧となっており、ストレスフリーで仕事を与えてしまった。
9分の場面では、クリスティヤン・ヤキッチから鎌田にパスが渡りカウンターが発動。ラファエル・サントス・ボレとのパス交換からアラウホが飛び出たことで空いた左サイドに流れた鎌田はそこでタメを作り、追い越してきたフィリップ・コスティッチにスルーパス。最後は背番号10の鋭いクロスから決定機を生み出すことになった。
38分のカウンターのシーンでも、鎌田は絡んでいる。ボレの落としを受け左サイドのコスティッチにパスを流したことで攻撃速度を継続させ、かつバルセロナ守備陣を揺さぶりながら深さを作った。この流れから、最終的にフランクフルトはPKを得ることになっている(OFRの結果取り消しに)。
もちろんカウンター以外の場面でも鎌田の存在感はあった。ドリブル突破で違いを作るようなことはなかったが、ボール保持者を的確にサポートしてパスを引き取り、ダイレクトを駆使しながら捌いてチームの攻撃を継続させるといったプレーの質は極めて高かったと言える。
バルセロナは前半、支配率61%を記録するも、シュート数はわずか2本で、被シュート数は8本を数えた。ボールを持ちながらも相手に多くの決定機を作られた原因の1つは、上記のように鎌田をなかなか捕まえきれなかったことにあるだろう。とくにコスティッチ、鎌田にも注意を払わなければならなかった右SBアラウホは、大変だったかもしれない。