防げた可能性の高かった失点
「失点してからやることは変わっていないと思うんだけど、苦しい試合が続いていると選手の中でナーバスな気持ちが生まれる。その影響がないようにコミュニケーションをしているけど、こぼれ球が相手に転がったり、運を含めて流れが来ない時間帯もある」
焦燥感がチーム全体に広がっていく。これが勝てていないチームの悪循環なのだろう。
ダメージが大きかったのは、3分後の2失点目だ。リスタートの流れからエリア内で永井がヒールで流すと、アダイウトンが受け、ディエゴ・オリヴェイラへ。彼は外にいた森重真人にラストパスを送った。青赤軍団のキャプテンマークを巻く男は迷わず右足を一閃。シュートを神戸ゴールに突き刺し、相手を奈落の底に突き落とす。まさにしてやったりの逆転弾だった。
このとき、リュイス監督は新加入の橋本拳人を投入すべく、準備をしていた。交代が先に行われていたら、失点の連鎖に歯止めをかけられたかもしれない。汰木が言うように不運も重なった失点とも言えるだろう。
ただ、それもサッカーだ。意気消沈した神戸はさらに9分後にもディエゴに3点目を奪われる。リュイス監督は「3点目のダメージが大きかった」と嘆いたが、このシーンもリスタートが発端。酒井高徳が話していたように、戻るところや寄せるところの細部を確実に徹底していたら、防げた可能性は高かった。
菊池のクリアミスが直接的な失点原因だったが、それもメンタル的要素が大きかったのだろう。自信喪失状態に陥った今、チーム全体をまとめられる絶対的リーダーが見当たらない。そこも今の神戸にのしかかる重大な課題と見てよさそうだ。