データが示すリバプールの落ち着きぶり
67分に鋭いカウンターからヌニェスに裏に抜け出され、77分にもカウンターからゴール前まで迫られた。時折チャンスを作られる場面はあったものの、再び主導権を握ったリバプールの選手たちは、87分にナビ・ケイタのスルーパスに抜け出したルイス・ディアスが3点目を決める。1stレグのスコアを3-1とし、2点のリードという大きなアドバンテージを得て2ndレグに臨むことになった。
この試合のリバプールで特徴的だったのは、決して“急ぎ足”ではなかったことだ。イベリア半島の西端の雄を相手に、極限まで強度を高めて激しいプレッシングで襲い掛かり、ボールを奪えばギアをトップに入れて敵のゴールに迫ろうとするいつもの勢いは、鳴りを潜めていた。後方からじっくりと落ち着いてボールを回し、局面によっては攻め急がず、あえてペースを落とす場面も散見された。
前述の61分のクロップ監督の交代策に顕著に表れたていたように、リバプールの選手たちは、ここぞのチャンスを除いてなるべく試合を落ち着かせ、ギアを低速に入れたままで勝ち切りたがっているようだった。それはデータにも表れている。試合を終えて、ボール支配率では64%と上回ったものの、走行距離ではベンフィカの121.4kmに対してリバプールは119.3km。遡って前半終了時のスタッツでも、ボール支配率は64%と上回っているが、走行距離ではベンフィカの60.6kmに対してリバプールは59.2km。明らかにリバプールの選手たちは“走っていない”のだ。
今回のベンフィカ戦を終えて、国内では週明けの11日にマンチェスター・シティとの大一番が控えていたことも関係したかもしれない。勝ち点1差で首位に立つシティとの決戦を前に、CLのアウェイ・ゲームで消耗するのは避けたかっただろう。もちろんベンフィカは簡単な相手ではない。試合後、クロップ監督はポルトガルのビッグクラブを次のように評した。