選手層の薄さをどう乗り切るか
2つ目の敗戦の要因は「選手層の薄さと代役となる選手のクオリティ不足」だ。
ふくらはぎを負傷している冨安健洋は問題がなければ近いうちに復帰をするだろうが、左SBのキーラン・ティアニーが膝を負傷し、今節を欠場。精密検査の結果が出ていないため信憑性は定かではないが、英メディア『The Sun』が今季絶望の可能性を報じるなど長期離脱となる可能性が高い。
今節はそのティアニーに代わってヌーノ・タバレスがプレミアリーグでは今年初めて先発メンバーに名を連ねたのだが、2失点に関与。前半で交代となるなど、攻守の両局面においてクオリティ不足を露呈する低調なパフォーマンスに終っており、ティアニーの穴を埋めることはできなかった。
タバレスの今節のパフォーマンスを考えると次節以降の左SBの起用法も考えなければならない。今節の後半のようにジャカを左SBとして起用することや、冨安が復帰をすればセドリックを左に回す可能性もあるだろう。本来は右WGで起用したいところだが、どこのポジションでもプレー可能なブカヨ・サカもティアニー不在の穴埋めの選択肢になり得る。
また、74分に負傷交代となったトーマス・パーティの怪我の具合も気になるところだ。現時点では怪我の状況が発表されていないため断定はできないのだが、アルテタ監督は試合後に古傷の再発を示唆しており、数週間の離脱となる可能性もあるだろう。
年明け以降の躍進の要因であったトーマスの離脱はあまりにも痛い。離脱となるとアルベール・サンビ・ロコンガが代役を務めることになるだろうが、プレミアリーグにフィットしているとは言い切れず、ポジショニングの悪さが目立つシーンも少なくない。
現時点の順位と勝ち点を考えるとアーセナルがCL出場圏内の4位フィニッシュをすることは可能性として十分に残されているが、ここに来て替えの利かない2選手の離脱はあまりにも痛い。今冬に多くの選手を放出しながらも1人も補強をしなかったことが、結果的に自らの首を絞めることになるかもしれない。
(文:安洋一郎)
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