勝負の4連戦に向けた巧みな選手起用
また、この試合で見事だったのがクロップ監督の選手起用だ。前述した通り、過酷な環境で試合を行ったファビーニョを先発メンバーから外した他、先月30日に行われたカタールワールドカップ予選で120分プレーしたセネガル代表FWサディオ・マネもベンチからのスタートとなった。同じく30日に行われた試合で先発フル出場していたコロンビア代表FWルイス・ディアスに関しては起用すらしなかった。
彼らの代わりにロベルト・フィルミーノやチアゴ・アルカンタラといった3月の代表戦に招集をされなかった選手を先発出場させ、普段はフル出場することが多いモハメド・サラーも69分にベンチに下げるなど選手起用に多くの工夫がみられた。
彼ら主力に無理をさせなかったのは、今後の過密日程を考慮してのことだろう。現地時間5日にはUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝ベンフィカ戦、10日にリーグで首位に立つマンチェスター・シティ戦、12日にベンフィカとの2ndレグ、16日にはFAカップ準決勝マンチェスター・シティ戦と、これから4試合連続でタイトルに直結する試合が控えているのだ。
こうした状況の中で一部主力を温存しつつ、勝利がマストの試合で確実に勝ち点3を積み上げることができたのはこれ以上ない最高の結果と言えるだろう。
今週からタイトルのかかった山場とも捉えることができる4連戦が続く。その中で今節は一部主力を温存するなど、厳しい山を乗り越えるための最善の準備は整った。この準備に選手たちが応えることができたら、残す3つのタイトル(リーグ、CL、FAカップ)獲得の可能性は一気に高まるだろう。昨季まさかの”無冠”に終わったリバプールの逆襲から目が離せない。(文:安洋一郎)
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