受け継がれる伝統
もっともピッチ上の選手たちにとっては、スコアは2-0であっても、“完勝”というよりは“紙一重の勝利”という感覚の方が強かったのかもしれない。左SBで先発したヌーノ・メンデスは次のようなコメントを残している。
「僕たちはこの試合がとても難しくなるだろうことを知っていた。なぜなら、この試合はファイナルであり、彼ら(北マケドニア代表)は持てる力の全てを注いで向かってくるからね。このゲームは、たった1試合なんだ。もし彼らが勝ったら、彼らがカタールに行っていた。幸いにも、それは僕たちで、とても幸せだ」
もちろんメンデスが言うように、「持てる力の全てを注いで向かってくる」北マケドニアのプレッシングを掻い潜るのは、決して簡単ではなかっただろう。しかし、その激しいプレッシャーをかわしていける足元の“技術”がポルトガル代表にあったのも、事実である。
往年のルイス・フィーゴやマヌエル・ルイ・コスタに代表されるように、“技術”に秀でた選手を輩出してきたポルトガルの伝統は、現在の代表チームにも受け継がれている。今回の試合でインサイドに並んだB・シウバとB・フェルナンデスはもちろんのこと、右SBのジョアン・カンセロ、中盤の底で先発したジョアン・モウチーニョ、FWのオタービオやジョタなど、最後尾から前線までポルトガル代表の選手たちは“技術”に秀でている。
そして、何より重圧下の一戦でその“技術”が光ったのは、カウンターの局面においてだった。
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技術の真価が発揮されたのは…
技術の真価が発揮されたのは…