15試合0得点。久保建英に突き付けられた現実
前半は0-1というまさかのスコアで終了。停滞感を打破すべく、森保監督は旗手を下げ、伊東純也を投入。布陣も4-2-3-1に変更し、久保建英をトップ下に据える形で巻き返しを図る。
効果は確実に出て、久保が中央のエリアで効果的な動きを見せ始めるなど、前半の重苦しさは徐々に消え去っていった。後半9分に吉田が意地のインターセプトからの強引な攻め上がりで1点を返すとチームにようやく活力が生まれる。久保も「ここからだ」と気合を入れたのではないか。
だが、森保監督は本気で勝ちに行くべく、後半16分に中盤3枚の総入れ替えに踏み切った。久保は南野拓実との交代を命じられ、不完全燃焼感を抱えたままベンチへ下がることになった。これで国際Aマッチは15試合ノーゴール。間もなく代表デビューから3年が経過するというのに、得点という結果を残せていない。
攻めの意識もインサイド一辺倒になりがちで、中と外を柔軟に使うようなバリエーションが足りない。この現実を踏まえ、彼はどのように生き残りを図るべきなのか……。その課題がまたも本人と指揮官に突きつけられる格好となった。
その後、主力組中心の構成になってからは連動性もインテンシティも向上。ベトナムの体力低下もあって、日本が一方的に押し込む構図となった。東京五輪世代の数少ないレギュラーの1人である田中碧は出るや否か、思い切ったシュートを打ちに行き、得点への意欲を強く押し出す。
迎えた後半25分。三笘からの横パスを受けた田中は前線の上田とのワンツーからゴール前へ侵入。左足を振り抜き、逆転弾を決め切ったかと思われた。が、上田のパスが南野の腕に当たり、OFR(オンフィールドレビュー)を経てノーゴールに。本人も悔しさを爆発させた。
それでも「自分としては相手が5枚並んでいる中でもゴール前に入っていくことを考えていた。形としてはすごくよかったし、質と精度もよかった」と田中が語気を強めた通り、東京五輪世代が絡んだ崩しという意味では前向きだったのは間違いない。