手詰まりだった長友佑都と吉田麻也。構造的欠陥は…
前半に日本代表が見せたロングボール攻勢については、チームの配置も大きく影響している。日本は4-3-3とは言うものの、攻撃時(ボール保持時)は右WGの伊東純也は幅を取るいっぽう、左の南野拓実は中央に入ってシャドーストライカー的な役割を担うことが多い。これに伴い、左の幅を取るのはもっぱらSB長友の役割となる。
この状態で日本代表がビルドアップすると、CBの吉田麻也がボールを持った時にサイドへの逃げ道がまず無い。長友佑都が戻りながら吉田からのパスを受ける場合は相手のマークを背負いながら受ける事になり、更に長友は右利きなのでCBからのパスをオープンに前を向いて左足で受ける事ができない。
苦しい体勢でパスを受けた長友は吉田にバックパスを返すしかなく、苦し紛れのパスを受けた吉田にはもうロングボールぐらいしか選択肢が残されていない。日本の左サイドのビルドアップはこのような構造的欠陥を抱えている。
前半36分のシーンでは吉田から高い位置を取った長友へのロングボールを相手DFが目測を誤って大チャンスにつながったが、これは諸刃の剣である。長友の裏は常に大きなスペースとなっており、途中でこれに気付いたオーストラリアのFW10番フルスティッチはあからさまに日本代表の左サイドに流れるようになっていた。
そしてオーストラリア代表が日本代表のロングボールを手前でカットした場合には、長友の裏に蹴れば自動的にカウンターが成立する構造ができ上がってしまった。これが前半、試合がオープンな打ち合いの様相を呈していた大きな要因である。
【後編に続く】