降格圏脱出へ“共存”はありか?
とはいえイ・ガンインがマジョルカにとって全く戦力にならないかと言えば、決してそうではない。やはり技術力はあるし、左足のキックも非凡なものを持っている。使い方次第では十分に輝くだろう。
そこで提言したいのは、イ・ガンインと久保の共存だ。
マジョルカの攻撃は現状ヴェダト・ムリキ頼りとなっており、アイデアという意味ではかなり乏しい。ムリキ加入直後はまだ通用する部分があったが、今では完全に対策されており、機能しているとは言い難いのだ。
そこでチャンスメーカーとして振る舞える久保とプレーメーカーとして振る舞えるイ・ガンインを同時起用すれば、攻撃の可能性は大いに広がると考える。4-2-3-1で久保が右サイド、イ・ガンインがトップ下。この形であれば、二人の能力を最大限に引き出すことが可能となるはずだ。
ルイス・ガルシア監督は以前、久保とイ・ガンインの共存について難色を示していた。基本的に両者とも足下でボールを受けたがるため、スペースへの動きがなくなる。そして守備面ではフィジカル強度を失う。そういった部分が同指揮官にとってネックになっているのだろう。
しかし、現状のマジョルカはどうだろうか。先述した通り攻撃のアイデアは乏しく、守備では失点を止めることができていないなど、どっちつかずとなっている。それならば、多少のリスクは負っても、非凡な攻撃センスを持つ二人を同時起用し、得点への可能性を広げた方がいいのではないか。ヘタフェ、エルチェ、アラベスと格下相手との対戦が続く今後を考えれば、なおさらだ。
いずれにしても、降格圏に足を踏み込んでしまったマジョルカは変化を加えなければならない。このままでは、2部降格への道を突き進むだけだ。
(文:小澤祐作)
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