久保建英はベンチスタート。韓国代表MFの出来は…
そんなエスパニョール戦で、ルイス・ガルシア・プラサ監督は少し変化を加えていた。それまで攻撃の中心としてプレーしていた久保建英をベンチに置き、韓国代表MFイ・ガンインを左サイドハーフとして先発起用したのである。
イ・ガンインは随所でらしいプレーを見せた。左足のキック精度に自信を持つ同選手はより内側にポジショニングし、プレーメーカー的存在として振る舞っている。13分、カウンターの場面でうまくボールを引き取り、左サイドバックのハウメ・コスタに鋭いスルーパスを出したシーンは見事だった。
しかし、“全体的”には影が薄かったと言わざるを得ない。中央寄りにポジショニングする分、相手のプレッシャーを受けやすく、背後から強く当てられてボールを失ってしまうシーンが何度か見られた。また、久保のような突破力を持たないイ・ガンインは相手を抜き去る前にクロスを上げることが多いのだが、これもあまり効果的とは言えず、ほとんど跳ね返されている。
事実、データサイト『Sofa Score』によると、イ・ガンインは60分までのプレーでボールロスト17回を記録。これはチームワースト2位の成績だが、同1位のコスタ(20回)はフル出場しているので、事実上のワーストと言っても過言ではないのだ。スタメン奪取へのアピールに成功したとは言い難い。
そのイ・ガンインに代わり60分からピッチに立った久保は、限られた時間ながらチャンスに絡んでいる。77分には左サイドからのクロスを難しい体勢ながらアブドン・プラッツに折り返し、最後はババのフィニッシュに繋げている。84分にはアドリア・ペドロサのマークを完全に外しボックス内へ巧みにランニング。クロスはわずかに合わなかったが、イ・ガンインにはなかったような動きでゴールへの可能性を感じさせた。
時間帯によって相手の出方も変わっていたので単純な比較はできないが、この試合に関しては贔屓目なしにイ・ガンインより久保の方が攻撃時の存在感はあったように思う。ドリブルが引っかかってしまうこともあったのは事実だが、やはりチャンスメーカーという意味で、マジョルカにおける日本人MFの重要度がわかる結果になったと言えるのではないか。