大迫勇也不在を乗り越えられるか
【写真:Getty Images】
大迫がいない時にどう戦うかという課題に対する議論は、今に始まったことではない。2019年10月に行われたカタールワールドカップアジア2次予選のモンゴル代表戦とタジキスタン代表戦、あるいは昨年6月のセルビア代表との国際親善試合などでも「大迫不在」という論点があった。
長年にわたって日本代表を引っ張り、前線でチームスタイルをも規定するような存在感を発揮してきたストライカーの不在は確かに痛い。だが、中長期的な目線で見れば現在31歳の大迫ばかりに頼ってはいられない。
セルビア戦前には南野も「確かにサコくん(大迫)がいる時といない時で、チームの前線のプレー、特に2列目の選手(のプレー)は変わってくると感じています。ただ、サコくんがいないときにチームとして方法を見つけなければならない」とも話していた。
例えば先述のモンゴル戦ではFW永井謙佑が、タジキスタン戦ではMF鎌田大地が1トップに入って奮闘した。セルビア戦や続くアジア2次予選のキルギス戦ではFW古橋亨梧やFWオナイウ阿道がチャンスをつかんだ。
今回は永井も鎌田も古橋もオナイウもいないわけだが、前田や上田、あるいは林にとってはかつてなく大きなチャンスになる。大迫がおらずともチームとして機能し、結果を出せるんだということを大一番のオーストラリア戦で証明できれば、日本代表にとっても選手本人にとっても大きな自信になるだろう。
準備にかけられる時間は限られているが、いない選手のことを惜しんではいられない。4日間で大迫不在時のオプションに磨きをかけ、まずはオーストラリア代表に勝ってカタールワールドカップ出場を決めること。そのためには前田、上田、林、東京五輪世代を引っ張ってきたストライカーたちの力が必要だ。
(文:舩木渉)
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