逆転できた要因とは?
1stレグ同様、PSGは4-3-3を採用してきたが、前回対戦の異なっていたのは守備にかける人数だ。
負傷明けのネイマールに代わり、ディ・マリアがスタメン出場した1stレグは10人全員でブロックを構築。5-5の2ラインで強固な守備を築いていた。だが、この試合では3トップを前線に残して4-3の2ラインで対応。さらに、攻撃時にアクラフ・ハキミとヌーノ・メンデスの両サイドバックが高い位置を保ち、守備時には内側に絞っていたため両サイドにスペースが生まれていた。
レアルはそこを狙って攻撃を展開。前半はビニシウスにボールを集めて相手DFを左に寄せ、逆サイドの空いたスペースにカルバハルがオーバーラップしてクロスを上げるなど、ピッチを広く使ってチャンスを作っていた。
後半はこれに加えて、モドリッチやナチョ、さらにダヴィド・アラバが積極的に裏へ抜け出したことにより、左サイドを容易に崩せていた。こうして左サイドから執拗に攻めたことで、ハキミのカバーに入っていたダニーロ・ペレイラが中央から徐々に右へポジションを寄せていた。
レアルの2点目はこの攻撃が実を結んだと言ってもいいだろう。モドリッチの持ち上がりや股抜きのパスは見事だった。だが、左サイドを抜け出したビニシウスにダニーロが引っ張られ、さらに複数人が対応に追われたことでペナルティーエリア手前にスペースができ、ベンゼマのゴールへと繋がっている。
そして3点目も左サイドからだ。マウリシオ・ポチェッティーノ監督の指示だったのか、キックオフの時点でハキミはハーフウェーラインまでポジションを上げていた。そのため、ビニシウスはフリーで裏に抜けることができ、即座に対応したマルキーニョスのミスからベンゼマがゴールを奪っている。
守備ではムバッペらをファールで止めるなど不完全な部分はあったが、攻撃では相手の弱点を的確に突いた。最後まで手を緩めなかったレアルの勝利はベスト8進出に値する内容だった。
(文:阿部勝教)
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