ポステコグルー監督からの揺るぎない信頼
セルティックはその後、55分にFWジェームズ・フォレストが弟アランとの直接対決となった試合で今季初ゴールを挙げる。すぐに1点を返されてしまうが、リヴィングストンに3点差を追いつくだけの余力はなく、3-1のまま試合終了。ついに鬼門トニー・マカロニ・アリーナで16年ぶりの勝利を掴み取った。
アンジェ・ポステコグルー監督も前田の働きぶりを絶賛する。
「ストライカーは誰しもゴールを決めるのを特に好むが、残念ながら彼らはしばしばゴールの数だけで評価されてしまうことがある。だが、今日も大然は我々にとって本当に素晴らしかった。彼の仕事量、プレッシング、ランニングは傑出している。そして、私にとっても彼にとってもゴールを決められたのは嬉しいことだ」
そして、今季一度も勝てていなかったリヴィングストンに、10年以上勝てていなかったアウェイで苦手意識を克服できたことの重要性を、ポステコグルー監督は強調した。
「試合に勝つだけでなく、自分たちのサッカーをして、目の前にあるどんなチャレンジも乗り越えられると見せることは、我々がどんな存在なのかを示すことにもつながる。選手たちはその意味で素晴らしい戦いを披露してくれた。
ピッチがいつもと少し違うからといって、または相手の戦い方によって自分たちのサッカーをすることをためらいたくなかった。それが試合の鍵だったと思う。我々はゲームをコントロールし、守備でも素晴らしい仕事をした。相手に一瞬の安らぎも与えなかったんだ」
いくら自分たちのサッカーを貫こうとしても、苦手意識が頭をよぎり、楽な方に逃げてしまいがちになる。そこに苦手意識のない真っ白な存在が現れ、「何年も勝っていない? 知らんがな」「ピッチが人工芝? 俺には関係ない」とばかりに力を発揮してくれれば、チームにとっては大きな勇気になる。
ポステコグルー監督の精神を深く理解した前田の存在が、ピッチ上で“リヴィングストンの悪夢”を払拭するにあたって最も重要な鍵だったのである。
(文:舩木渉)
【了】